変貌の掟
容易に人は変われない
だから振り子を大きく
反対側まで振ってみる
たとえ戻るところは同じでも
ロケーション : 2006年1月12日(木) Ken の店、 Satty の車中
登場人物 : Toi ・ Satty ・ Zigger ・ Mu ・ Ken ・ Kyoji
ナレーション :
DNA 共振 からの続き
パーティーから帰路に着く車中で、聞き逃した Zigger(ジガー)の話を Toi(とわえ)が Satty にねだる
ねえお父さん! わかったワカッタ・・・
Toi ナレーション :
高速に入る前に聞きだそうと焦っていた私は、とにかくダイレクトにねだりました。
父は複雑な表情で渋々話してくれましたが、それはほんとうにビックリしてしまうお話でした。
そして、彼と出会ったのはほんの少し前の出来事なのに、Mu(むつみ)さんとの特別な関係を知ると、わけもなく焦る自分がいたのです。
捨てたわよ彼の持ち物全部! 一同 : えーっ! ホンとかよ Zigger ? はっ? ・・・ええ・・・まあ
Toi ナレーション :
それは1999年、彼が Ken(けん)さんの門を叩き、一人暮らしのアパートを引き払って、お店の近くに引越しする時だったそうです。
→ ( 関連Story : 特別な三角関係 )
人はね、そう簡単に変われないのよ・・・ 一同 : ホーッ! フムフム・・・ センスは悪くなかったんだけどね彼、駄目なのよね、それ位じゃ 一同 : ホーッ! ホーッ! ・・・ 最後には、その日着てる服も全部取り替えさせて、とにかく徹底的によ! 一同 : ホヘーッ! 携帯は・・・参りました あらっ? 参ってたのアナタ、何も言わなかったじゃない? あは・・・、言えるような状況じゃ・・・びっくりしちゃって・・・あとで気付いて・・・ まあっ! そうだったの! でもそれほど困らなかったでしょ? はあ・・・まあ、なんて言うか・・・ それでお前、最初に「何か必要か?」って聞いたら「携帯」って・・・ ええ・・・ えっ! Ken(けん)ちゃんアナタ買ってあげたの? いやっ、こいつ「やっぱりイイです」って言うから あらっ、偉かったじゃない! ・・・・・・ まあ、らしいって言えばらしいけど、それにしてもやってくれましたね Mu(むつみ)さん! 結果オーライでしょ! 一同 : ・・・σ(^◇^;)
Toi ナレーション : 孫まではいかないにしても、親子以上に歳の離れた Mu(むつみ)さんはその時、一切合財を新居に取り揃え、それまでの彼の持ち物を全て捨ててしまったそうです。
じゃ、Zigger(ジガー)の部屋にあるあれ全部・・・なるほどねー! なんだ? いやねマスター、こいつの部屋にある本や小物類ハンパじゃないんですよ! 服はもちろんですし! ホーッ! そうなのか? まあ、Kyoji(きょうじ)言うならそうなんだろうな・・・
Toi ナレーション : Kyoji(きょうじ)さんは、横浜中町老舗乾物卸問屋「漣屋」3代目になるお坊ちゃまだそうで、ブランド物や調度品等、かなりの目利きなんだそうです。
デザイン、美術、ファッションの本がもうスペシャルセレクションで、それも全部英語かフランス語ときてる。 ジャズやクラシックのCDも全部輸入版だし、台所用品はドイツ製、食器なんか欲しくなっちゃうものばかりで ・・・こいつ何者だ?って、初めて遊びに行った時の印象、今でも良く覚えてますよ!
へエーっ!
ホオー・・・なるほどね! それで他には?
あれいつごろだっけ?
一年目位かな、まだテレビ買ってなかったし・・・
そうそう! テレビなかったんですよ、その時。
インテリアに目を奪われて気付かなかったんですけど・・・。
その内ビデオの話になって、持って行ったんですよねトーナメントのを、そしたら無いって・・・!
お店にあるし、なんか・・・慣れちゃって・・・
へえーっ!
アハッ・・・あれはね、単に買うの忘れただけなの。
気付いたんだけど、後で付け足すのはちょっとね、だからまあいいかなって。
・・・俺なんか、今でもあまり困らないかも
アナタはそうよね、もともとほとんど観ない人だから・・・問題もあるけど・・・
エッ!
なんでもないわ!
・・・気になるなー!
それで Zigger(ジガー)は平気だったのかい?
えっ、あ、ハイッ。 最初の頃はもう家に帰るとバタンキューで、ほとんどお店にいましたから・・・
わかるわかる! あっても一緒か!
ええ、まあ・・・
そうそう、キューはどうしたんだい?
そいつは俺が揃えてやった、給料から月賦で差し引きってことでね!
ナルホド! それは最高だ!
まあ、コイツ感心するくらい撞きこんでたよ毎日・・・
そうだろうね・・・。 で、なんにも教えないんでしょ? 相変わらず
そりゃそうだろ!
えっ? そうなの?
コレばっかりは、Mu(むつみ)さんにもピンと来ないのかな?
・・・かもね!
・・・どうしてよ? なぜ教えないの? 意味ないじゃないアナタの所に居るのに・・・
Kyoji(きょうじ)、なんか言ってやれよ!
エーっ! ボクなんかとてもじゃないですよソンナ!
プロだろもう、プロッ!
勘弁してくださいよー!
Toi ナレーション :
(そうなんだ・・・?)
私にも理解できませんでした。
せっかく Ken(けん)さんの門を叩いたのに、なんにも教えてもらえないなんてどういうこと?
ねえ・・・どうして?
Toi ナレーション : 素朴な質問でした。
んー、まあ選手同士だからね彼らは。 ライバルってこと? 師弟関係じゃないの? 師弟関係・・・ではあるさ。 心のね。 ココロの? そうだね・・・、他に言いようがないな それは教えてくれるの? たまにね・・・ほんの一言ポツリと、きついやつ へえーっ! どんな? 時と場合によるなそれは・・・ きついのだけ? 慰めなんかはありえないよ、勝負の世界なんだから へえーっ! 厳しいんだ! 励ましも皆無かな・・・ うわーっ! 耐えられない! 聞いてみたら彼に、ディレクションするんだろHP・・・ えっ? アッ、そうだった! んー、面白そー! 聞いてみる! やれやれ・・・
Toi ナレーション :
技術に関しては、球の世界がもっとメジャーになれば、全く異なる世界から専門のコーチという存在が出現するだろうと、そうでなければ上手くいかないだろうと、父はそう教えてくれました。
私は、彼のHPのディレクションをするためには、もっともっと球のことを知らなければならないと焦りました。
(そうだ・・・!)
Toi ナレーション :
私は実家に置いてきた、父のお下がりの古いPCに残されていた、父の書きかけ原稿の中に、球に関する雑記が含まれていたことを思い出しました。
開いてみたことはあったのですが、なんのことかサッパリで、それより父の小説のメモとか、それなりに面白いデータが残されていたので消さずにおいたのです。
私、Wip に寄ってく。 ちょっと持って帰りたいものあるの、ねっ? んっ? ああ。 ・・・泊まってけば? ・・・うーううんっ、直ぐ済むから。 今夜は帰りたいし そうか・・・。 タクシー使えよ遅いからもう ん、ワカッタ、 サンキュー!
Toi ナレーション :
Wip に到着すると私は中層階の予備室に駆け上がり、T-Cut に引っ越すまで使っていた、父の自作 PC を押入れから引っ張り出しました。
このマシンには、5インチベイに 4型カラー液晶モニタ(VGA)が差込まれているので助かります。
私は財布に入れて持ち歩いているメモリースティックを取り出して、父のアーカイブのみをコピーしました。
一人暮らしをはじめてもう少しで 2年。 この頃週一度は母とお茶しに Wip に来てましたが、とにかく早く帰りたかったので、忍び足で階下に降りると・・・LD に母が待っていました。
(アチャッ!) あらっ、もう帰るの? お茶くらいして行きなさいよ、つれないわね! エッ・・・でも、今夜は遅いから・・・ まあ・・・そう・・・残念ね。 そうそう、Satty 言ってたわよ、DNA が共振してたって! エッ! ・・・ とぼけちゃってもうっ! アハッ・・・今度、また・・・今度ね・・・ いいわ、きっとよ!
Toi ナレーション :
「父ったら、もう話してる・・・」
わたしはムズガユイ恥ずかしさを覚えながら、
「今度」って、なにをどう話せばいいんだろう? と、
その日の出来事をタクシーの中で思い出していました。